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その場その場が勝負(山田想)
世良公則さん(以下「世良」):8月下旬から「Rising Sun~新世代陶芸家展~」という、今回は二人増えて10人になったんだけど、日本橋三越さんでやらせていただく予定なんですが、これまたいい刺激になっていくよなって。また言いたい放題言う人たちばっかりだから......。 (一同笑) そんな彼らが好きなんだけど。今回は並べてくれるかどうかわからないけど、ああいう小壷の小さいけど大きい存在感。その隣に岸野(寛)くんの大きな壺を並べたいよね。 山田想さん(以下「想」):おもしろいですよね。 世良:おもしろいよね。岸野くんの大壺の横に、あの想くんのちょっと焼けただれたような小壷がポンっとあると、なにかすっごいエネルギーを感じるんだよね。で、彼らもきっとおもしろがると思うね。そういうバトルを見たいなーと。それまではもう窯には入らないでしょ。 想:あの青いやつ(小壷)は全部売れちゃったんですよ。 世良:あたたたたたー(笑)。だから自分でとっておきたくないかって言ったんだよね(笑)。 想:でも売れるかどうかわからないし、もともとが黒田陶苑さんの個展は1年前に決まった話で、1年かけてそこに出す作品を作るという流れだったので、ちょっとでも頑張ったんだぞ的な姿勢も見せたいと。 (一同笑) 想:売れなくて僕クビになるかもしれませんしね。その場その場、ですから。 世良:そうだよね。その場その場が勝負だもんね。今回の個展で見たあの青は「山田想の青」だよね。 想:うーん、それを作風としたらいいのか......。 |
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思いのほかたくさん売れると......淋しい気分になったりします(山田想)
世良:それはひとつの枝葉だよね。(野球の)ピッチャーだってフォークも投げるしスライダーも投げるし、直球も投げるしね。そのなかでどれを使うかってのは、その時のひらめきでいいんじゃない? それは想くんのやってみようという心のままでいいと思うんだよ。 僕はその心のままにやっていいと許される人って少ないと思うのよ。みんな受け入れられることばかりを考えていたり、決まった形を持っていなくて、常にそのときの最先端の形やカッコいいものを追いかけるしかないと思うんだよね。ベーシックをちゃんと持っていれば心のままにってことが許されるんだよね。ギターだってそうだよ。 想:うーん。 世良:ギターも、ちゃんと弾ける人が突拍子もないことをやってもそれは自分のテクニックの範疇で、それを超える驚きを与えることができるんだけど、弾けない人にそれをやれって言っても無理だからね。ただの変な演奏だから。 その部分で言うならベーシックな部分がちゃんとある分、逆にいえばどんなところで弾けるんだろうと。たとえ弦が切れてもカッコいいじゃない。弦が切れてちょっとチューニングが合ってない状態でもシャウトしていてカッコよかったって言ってもらえるしね。アクシデントも自分の作品として成り立たせられる技術みたいなものは絶えず精進しているんだからあってもいいと思うんだよね。 青を暴れさせるってのも今後あってもいいかもよ。 想:個展だと燃え尽きた状態で会場にいるので......。 (一同笑) 次何から作るかって迷う時期で。もちろん青も作りたいと思ったり、窯のスケジュールがあるので後回しになることもあったり。 世良:たしかにそうだね。ベーシックなものはそれはそれで求められるからきちんと作っておかなくちゃいけないしね。斬新なものばかり並べるわけにはいかないものね。産地産地の特色があるから、常滑だと常滑っていうブランドのものは用意しないとね。 想:あと、今作る作らないでいうと作らない時期なんで、やっぱり作っていないと考える時間が多くなり過ぎて。ま、迷った方がいいとは思うんですけど......。 世良:でも迷ったら作れ、って言うじゃない? 作っているうちに生まれてくる何かもあるでしょ。 想:とりあえず始めて、徐々に調子を上げていくので、調子が上がらないところも考慮してスケジュールを立てるんですよ。失敗が許されないので。ギリギリで失敗しちゃいましたってのがないように。まあそういうことも世のなかにちょくちょくあることではあるんですよ。僕はギリギリでやらないので、1か月前に95%はできているんですよ。 世良:なるほどね。こないだ「あと2週間しかない」って言って窯上げてる新世代陶芸家もいたけどね(笑)。 想:(笑)まあ僕もギリギリでプラスアルファできたらいいなってやり方はしますけど。2週間くらい前に窯から出せないから遊びに行くとかありますよ。 世良:冷えるまで放っておくしかしようがないもんね。 想:けっこうその期間も(窯の)中が気になってろくろもやりにくいんですよ。燃え尽きるけど、先々も陶芸家をやっていくつもりなので、その次その次も連動して動いている感じですね。だから個展のあいだは燃え尽きてるというか心が病んでいる状態ですよね。売れても売れなくても考えちゃうっていうか......。 世良:(笑)思ったよりも売れてるときってどうなの? 想:もう次はないんじゃないかとか(笑)。その場で売れないよりかはいいんですけど、思いのほかたくさん売れると、二度とこんな日はこないんじゃないかと淋しい気分になったりしますね。 世良:(笑)そうかぁ。それは山田想の性分なのかな。 想:だと思いますよ。売り始めてからずっとこんな気分なんで。売れるのが当たり前だとも思っていないし、陶芸家でい続けるっていう事が、けっこう難しいと思っているし、生き残り続けないといけないので。 |
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"一徹"ってこと。自分の主義がはっきりしている(世良)
世良:たしかに、美術館に展示する作品を作るのも芸術家だけど、人の日常のなかでちゃんと使われていくってことを目指すのも同じくらいの価値があるわけだからね。でも、あの形っていうのはそうそうはできないからね。 想:(笑)どうですかねぇー。同じ陶芸家でも急にはできないと思うんです。それプラス、カッコよく展示するとか、花を入れるとか、値段をいくらにつけるとか、自分がどんな格好して立っているかとか。僕は一番になるタイプではないんだけど、生き残っていく知識みたいなところはけっこう持っていると自分では思うんですけどね。 世良:(笑)でも一番にはなるでしょ? 想:一番にならないほうがいいと思うんですよね。引っ張っていくタイプでもないし、そんな派手でもないし。レギュラーくらいでいいですよ(笑)。 世良:がつがつしている必要はないと思うし、それは想くんには似合わないしね。でも、あるグループのなかでは一番であってほしいとは思うよ。古めかしい"陶芸の大家"みたいなふうにはなってほしくないけどね。そうなると話しにくくなるからね。さっきの話のように「自分の話に対する反応を見て付き合い方を決める」みたいな意固地なところはいいよね。 想:意固地ってどういうことですか? 変わってるってことですか? 世良:意固地ってのはこの場合"一徹"ってことだよね。要するに自分の主義がはっきりしている。 想:ま、結局最後は自分で決める、ってところはありますね。 世良:そうだよね。最後は自分で決めてるよね。 ヤフオク担当(以下「ヤフオク」):想さん、今おいくつなんですか? 想:今31(歳)です。若いのか若くないのかわからないんですね。昔だったら31で黒田陶苑で個展を開いたらスゴイですよね。 世良:スゴイよ。今でもスゴイでしょ。30のときもやっているでしょ。 想:29のときもやっていますし。 世良:銀座の黒田陶苑は、それこそ荒川豊蔵とか(北大路)魯山人などそうそうたる作家の作品がウインドウの向こうにずらっと並んでいるわけで、そのなかに29や30で作った想くんの作品があるわけですから。 想:しかも僕、黙っているともっと若く見られますから「えらく若い先生ですねぇ」って言われるし。黙って立っていると作家だとは思われませんね。 世良:店番だと思われるのかな? 想:いや、店番だとも思われていませんね。「なんでコイツここに立ってるんだろ?」って......。 (一同笑) でも、世間では若い陶芸家がもてはやされる部分もあるので、若いからやらせてもらえるとか。 |
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少しでも多くの人に触れてほしい(世良)
ヤフオク:買ってくださるお客様の層は? 想:僕よりは上ですね。でも、意外に下もいますよ。 ヤフオク:20代30代の世代の人たちのライフスタイルが変わってきているといわれますが、自分使いの器にお金をかけるような傾向ってのは感じられますか? 想:うーん。その結果、器にお金をかける若者は結局少ないと思うんですよ。 ずっと後なんじゃないかと思うんです。自分のものにお金をかける順番でいうとですが。 あくまでも一般的な発想ですが、作家の作品や器、それ自体、家にもないし、親もそういうものを買っていないとなると、そのような器を目にする、手に取るきっかけからは遠い。 僕だと急須を作っているので、買う人はお茶をやっている人が多いんですか? って思われるんですよ。それは約1割。その時点で世間のイメージはまちがっていますよね。 じゃ、女の人が多いんですか? って。それは(男女比)半々。それもその時点で間違っている。食器は女性が買うって思っているんですよ、世間の多くの人は。それも違うし。 お金持ちが買うのか? そうとも限らない......。全部違うんですよね。食器にお金かけます? ヤフオク:世良さんの影響で、やっぱり見方というか多分に感覚的なものですが、以前とは変わったと思います。ただ、結局見ただけではわからなくて、実際に使わせていただくとかしないと......。 想:僕は、陶芸を始める前に陶芸って何がいいのか解らなかったし、でも解らなきゃいけないと思って、本能的になぜかガラスのコップを買ったんです、最初に1万円の。何もその良さ解らないバイトをやってるようなフリーターがです。今でもその物は、生き残っていますが、その時点でまず違いますよね。そんな感じで買っていくと10年経つといろいろ貯まってきて、食器棚に入っているもの合計しても100万円くらいなんですよ。10年で100万ってたいしたことないでしょ? ヤフオク:割るとたしかに。 想:けど、今100万あってもそれを揃えることはできないんですよ。お金だけじゃないなって。 ヤフオク:あー......。そういうものとの出合いってどんな感じなんですか? 想:自分で見つけてみたいとか、これのよさってなんだろう? って悩んだら買うとか。買うほうに持っていかないと。買って使ってみないと解らないので。 世良:買ってみなきゃわからんってのはあるよね。音楽も聴かなきゃわからんしね。 想:迷って買わないって人がいっぱいいるんで、そういう意味で、のめり込むのが難しいんじゃないですかね。 世良:そうだね、確かに。陶芸って世界はきっかけがそんなに多くない世界かも。 音楽や楽器ってのはわりとテレビやラジオがきっかけになったりするけど、これは器としていいよってのが普通にテレビ見ててあるかっていったらそうそうないしね。 日本は特にテレビの文化なので。ヨーロッパだとテレビはあまり信じられてなくって、環境だったり、おじいちゃんおばあちゃんの生活の知恵だったり。食器だってこういう行事の時は代々使っているこの食器を使ってとかね。日本も昔は正月のお膳がどうとかあったけど、今じゃそういうことは生活のなかから消えつつあるからね。 今回僕はドラマの中で彼ら(想さんたち)の協力もいただいてお皿や鉢を使ったんだけど、ゲストに来た人たちがそれらを手に取るんですよ。じっと見たりとか。今、阿部サダヲくんが、もの凄く興味をもってくれてるのね。だから仲間になってくれるのを心待ちにしているんだけど(笑)。 ちょっと関心のある人はテレビでちょっと映っただけなのに、「あの急須はなんですか?」とか「あのときカウンターに積んであった茶色のお皿はなんですか?」とかね。 あのお皿に自分の作った料理を盛りつけたらとか、あの器でお酒をいただいたらとか、そういう思いが生活のなかに少しでも割り込んでいくと、それが急に現実味を帯びたりするわけで 。僕は若い陶芸家の皆さんとつきあわせていただいて、20以上も歳が離れていても勉強させてもらっているし、自分自身も楽しくなったのね。そういう器を使ったり眺めたりしてることで豊かになることってたくさんあってね。そういう機会がゼロではないので、その啓蒙活動ってわけではないんだけど、少しでも多くの人に触れてもらいたいって思うんだよね。 |
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人が思いつけなさそうなところに落とせる、それがプロかと(山田想)
想:服を買うにしても、たとえばTシャツはいくらまでしか出さないって決めているような人っていますよね。なんで決めるのか、どういう基準で決めるのか解らないけど、基準を決めたいってのは解るんですよ。決めた金額をオーバーしているけど、すごくいいのがあるよ、買わないの? って。 そこで買っちゃう人は陶芸でも、意外と抵抗なく取入れますね。 ヤフオク:おっしゃることはよくわかります。悩んで買わずにいて、数か月後に、翌日にでもいいんですがやっぱり買おうと思って行ったらすでになかったこと、よくあります。 想:買うのも競争ですから(笑)。迷う時間だけムダなんです。ま、ムダかどうかは判んないですけど、決断は速いなら速いほどいい。 世良:何十万も何百万もっていうなら話は別だけど、いつも僕らも言っているんだけど1万円の器を買っても、365日毎日使ったら1日いくらって。それが30円だったとしたら、毎日100円や200円くらいはどこかでムダに使っているんだからいいだろうって(笑)。 想:予算が1万円だとして、5千円ですごく気に入ったものが買える時があるんですよ。で、次に1万5千円の予算って考えて、ちょっと1万5千円は高いけど、この間、いいのを5千円で買えたんだからこれも買っちゃえって。そしたらどっちも買えますよね。それくらいでなかったら買えませんよ。 世良:そうじゃないほう、そうじゃないほうに教育されてきたじゃないですか。 そういうムードっていうか。おうちはくちゃくちゃなのにルイ・ヴィトンは持ってるみたいな、そういうアンバランスな国でしょ。そんな中をちょっとなだらかにもそういう思想や志向ってのがすっごく大事だと思うんですよね。 僕自身、そんな人に誇れるような邸宅に住んでいるわけではありませんけど、でも人並みにブランド品も持っているし、身につけてる。でも大事なのはバランス感覚ですよね。それをちょっとシフトすることでちょっと豊かな気持ちになれたりとかね。ちょっとだけ胸が張れる、とかちょっとだけおいしく感じるとか、その「ちょっとだけ」の部分にお金を出せるかどうか。 それを自分のものにできるかどうか。それは益々今後大事になってくると思うんだよね。 想:僕収入は普通ですけど、いいもの持ってます(笑)。収入の割にという意味では。賢く使おうと気は使っていますけど。 世良:想くんはそういう意味で、消費者的な立場でものを捉えることのできる作家って言えるよね。 (話は、しばし製品いうところを行き来し......) 想:僕作ってて調子の悪いときって嬉しくなりますね。調子悪いと感じると、その分どこを修正したらいいかってことを考えるし、より力を注いで作るから、たいがい次いいものができるんですよ。そっちのほうが明日はきっとできるみたいな。 世良:それはもうテクニックがなきゃできないのよ。イチローといっしょなのよ。30でそれだもの。40、50にはどんな作品作っているんだろうって、それは楽しみだよね。 ヤフオク:生活の中のいろんなものが、作品作りのインスピレーションになるんですか? 想:結果的には。まあアンテナ立てつつ、自然に自分のなかから出てくるみたいな。アンテナ立て過ぎてもいけないかもしれないですね。 ヤフオク:機能的で使いやすいってことと、デザインのバランスはどうとるんですか? 想:たとえば使いやすさっていくつか思いつきますよね。その思いつかないところにもっていけたらいい、みたいな。そういう微妙なところをつけるかつけないかじゃないですかね。 いってもコップやお皿や急須なわけで、それに人が思いつけなさそうなところに落とせるかどうかっていうのが、プロがモノを作るってことじゃないかと思います。だから人のアドバイスってたいがい要らないんですよね。 (一同爆笑) ---2回に分けてお送りした世良さんと山田想さんの対談。いかがでしたか? 想さんの個展、最終日にうかがってきましたが、ホントにすばらしい作品の数々を想さんの解説で楽しむことができました。急須買わなくちゃ(笑)。 8月開催予定の『世良公則feat.新世代陶芸家展』が今から楽しみですね。 |
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会名:世良公則feat.新世代陶芸家展~RISING SUN~ 会期:2011年8月31日(水)~9月6日(火)※最終日は午後4時閉場 会場:日本橋三越本店本館6階美術特選画廊 陶芸家: ●加藤亮太郎(美濃)●伊勢崎晃一朗(備前) ●岸野 寛(伊賀)●清水志郎(京都) ●辻村 唯(奈良)●古谷和也(信楽) ●見附正康(九谷)●山田想(常滑) ●山田 大(越前)●池田省吾(種子島) (敬称略) ※世良作品展示予定[非売品] 『世良公則ソロ・アンプラグドライブ O-Kiraku LIVE 2011』 2011年9月9日(金)山口県岩国市 周東パストラルホール 2011年9月10日(土)香川県丸亀市 綾歌総合文化会館 |
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監修・撮影:SHOKO SOGA
協力:MR.SERA PROJECT、黒田陶苑(銀座) 文、撮影:Yahoo!オークション 世良公則オフィシャルサイト(外部リンク) 山田常山オフィシャルサイト(外部リンク) |
ドラマに出てきた器、もっとじっくり見たかった~w
お酒を注いでた器、私はそれでコーヒーを飲みたいっ!です。20代の頃は焼き物とか好きで、陶芸家のお店に行ったり、実際に陶芸を習ったりしてたんですが、最近はさっぱりでした(^^;
また興味が出てきました。ステキな対談、ありがとうございます。
日本橋三越本店で開催とは\(◎o◎)/!
素晴らしい快挙です。
才能豊かで尊敬します。
ドラマに出てきた食器もステキでした。